昨今、携帯電話の料金が大きく変化しています。大手キャリア各社は、従来には無かった価格帯の大きく値下げしたプランを発表しました。
既存キャリア各社に大きなインパクトを与えた、新しくキャリアに加わった楽天モバイルの存在もあり、一般的なニュースや雑誌でも取り上げられる機会が多く、自分の携帯電話料金も見直そう!という方が増えています。
携帯電話会社はキャリアと呼ばれる大手だけではありません。調べてみると、話題になっている携帯電話会社以外にも、格安SIMと呼ばれる会社が多くある事に気が付きます。
この格安SIMの一つが「OCNモバイルONE」です。
OCNモバイルONEを軸に、格安SIMとは?大手との回線の違いは?など、解説します。
携帯電話料金が変化するきっかけ
DoCoMoが発表した「ahamo」は業界に衝撃を与えました。
その後に発表されたKDDIの「povo」とSoftBankの「LINEMO」の料金が、何故かahamoと横並びになっていることに、違和感を持たれた方も多いと思います。(発表当時、5分かけ放題を加えると3社とも税抜き2,980円)
2006年にSoftBankが当時のVodafoneを買収してキャリア事業に参入して以来、競争という意味においては無風状態が続いていました。その結果、企業規模から見れば世界有数の利益を出す会社に3キャリアともなりました。
流れが変わったのは、2018年の当時官房長官だった菅義偉氏が放った「携帯電話料金は4割引き下げる余地がある」の発言です。一般企業である携帯電話会社に対して、ある意味「儲けすぎだ!」の発言は、自由経済を重んじる資本主義において不思議ですが、これには正統な理由があります。
電波は国民共用の財産であり、携帯電話事業は国の認可(総務省管轄)が必要だからです。
携帯電話事業者(MNO)とは?
日本で認可を受けている携帯電話事業者は、DoCoMo・au・SoftBank・楽天モバイルで、この4社をMNO(Mobile Network Operator)と呼ばれています。
MNOは総務省の認可を受けて、自社で接続回線やアンテナ等に大きな設備投資を行い、携帯電話サービスを行っています。
Ahamo・povo・LINEMOは、MNOの中にある一つのプランです。auのUQモバイル・SoftBankのY!mobileの2つについては、現在はサブブランドの位置付けで、回線はMNOをそのまま利用しています。
仮想移動体通信事業者(MVNO)とは?
仮想移動体通信事業者(Mobile Virtual Network Operator)と呼ばれるのは、総務省による定義では「MNOの提供する移動通信サービスを利用して、又はMNOと接続して、移動通信サービスを提供する電気通信事業者であって、当該移動通信サービスに係る無線局(基地局)を自ら開設しておらず、かつ、運用をしていない者」と、なっています。
つまり、自社で設備を持たないで、MNOの回線の一部を借りて運営する事業者です。一般的には、このMVNO事業者を格安SIMと呼んでいます。
どのMVNOでも回線品質は同じ?
自社で設備投資をせずに、設備を持っているMNO所有回線の一部を間借りする事でコストを掛けずに運用する事で、大手キャリアよりも格安に通信サービスを提供するのが格安SIM(MVNO)です。
ここで大切なポイントは、回線を全面的に自由に使える訳では無く、借りているのは回線の一部だけという事です。
3車線有る高速道路を思い浮かべてください。キャリア契約者は3車線全てを使う事が出来ますが、MVNO契約者が使えるのは3車線の中の1車線のみという事です。それほど車が走っていない交通量であれば快適に走行できますが、混んでくると思った様な速度が出にくくなります。つまり、使うユーザーが集中する時間帯には、MNOと比較すればMVNOは速度低下が発生しやすい傾向にあります。
MVNOが借りる回線を太くすれば、快適な通信環境をユーザーに提供する事が出来ますが、回線料の負担が大きくなれば、格安SIMの価格では採算が合いません。
借りる回線を細くすれば、計算上はMVNOに利益が出ますが、劣悪な通信環境が続けばユーザーは流出して悪い話が広がり、新規ユーザーの獲得も困難になり、企業の存続が危うくなってきます。
MVNOの運用にはバランス感覚が重要であり、蛇口をどの程度開くのか?開けるのか?企業としての理念や財務内容が大きく絡んできます。
そのため、たとえば同じdocomo回線を使っていても、MVNO事業者が変われば、必然的に速度を含めた通信回線品質は異なってきます。
MVNOが更に値下げ出来た理由
大手キャリアユーザーが支払う平均月額料金が6,000円~10,000円程度であるのに対して、MVNOは2,000円程度の料金であることが、大きなアドバンテージでした。
ただ、この違いは回線品質だけでなく、MVNOの中心ユーザーは3GB/月程度の小中容量の使い方という事があります。20GB~30GBをMVNOで使用すると、大手キャリアに比較すれば安くても、その差は小中容量と比べれば小さいものでした。
大手キャリアが発表した前述の20GBで3,000円程度の新プランは、格安SIMで同程度のプラン価格と逆転現象を生み出しました。格安SIMが格安で無くなれば、存在意義が無くなってしまいます。
新プラン発表を受けて、MVNOの業界団体であるテレコムサービス協会MVNO委員会は、データ接続料と音声卸料金を安くする要望書を総務省に提出し、総務省はMNO各社に対して引き下げる指示を出しました。
2021年4月からMVNO各社が新しい料金プランで更なる安さを打ち出せたのは、回線品質の悪化を承知で蛇口を絞ったのでは無く、そんな事情があるからです。
通信速度とは?
通信品質で一番わかりやすく重要なのは、通信速度です。この通信速度の単位は「bps」という単位で、数値が大きくなるほど高速になります。
bpsはBit per secondの略語で、1秒間にどれだけのデータ量を転送出来るかという意味です。1,000bpsは1kbpsであり、1,000kbpsが1Mbpsになり、1,000Mbpsは1Gbpsになります。
スマホを快適に使える速度は?
通信速度には上りと下りがあります。写真や動画を自分のスマートフォンからアップする時は上りで、動画鑑賞したりネット閲覧したりするのは下りです。使う頻度が圧倒的に多く、快適さに大きく関わるのは下り速度です。
携帯電話各社の多くは理論上の数値(ベストエフォート)を公表していますが、実際に出る現実的な数字ではありません。OCNモバイルONEでは、下りで最大1Gbps・上りで500Mbpsになっています。
スマートフォンがストレス無く動くのには、通信速度が重要なファクターですが、それが全てではありません。スマートフォンの本来持っている性能や、場所による電波の受信状態も大きく影響してきます。
実際にスマホがサクサク動くと言われる快適な速度は、メール・LINEで128kbps~1Mbpsです。ウェブを閲覧する為にはテキスト中心のサイトで1Mbps程度です。大きな写真が混在しているサイトで10Mbps程度です。動画は解像度にもよりますが、5Mbpsから20Mbpsの速度があれば快適に視聴出来ます。
このスピードを下回ると使えないという事ではありません。あくまで快適にサクサク使うために必要なスピードです。
具体的なOCNモバイルONEの速度は?
みんなのネット回線速度というサイトがあります。このサイトから、OCNモバイルONEの計測された速度を見てみましょう。時間帯ごとの下り(ダウンロード)に注目します。
OCNモバイルONEの時間帯別の平均速度(直近3ヶ月)
時間帯 | Ping | 下り | 上り |
---|---|---|---|
朝 | 49.64ms | 74.74Mbps | 16.57Mbps |
昼 | 62.12ms | 34.43Mbps | 10.66Mbps |
夕方 | 56.46ms | 51.64Mbps | 15.51Mbps |
夜 | 56.58ms | 48.35Mbps | 14.75Mbps |
深夜 | 53.63ms | 68.25Mbps | 12.73Mbps |
出典:みんなのネット回線速度
早朝から深夜まで安定した速度が出ていることが解ります。
朝の時間帯で74.74Mbps出ています。
朝の通勤時間帯では、同じ時間帯に多くの人が使う状況なので、7時から9時頃は一般的に通信速度が落ちる傾向にありますが、まったく支障の無い回線品質ですね。
昼の時間帯は、朝の通勤時間帯よりも使用者が集中する、12時から13時のお昼休み時間が重要です。この時間帯は、回線を間借りしているMVNOにとっては鬼門と言えます。
しかし、上記のグラフを見ても明らかな様に、高速な数値34.43Mbpsが出ています。
お昼休みに快適に使える事は、格安SIMにとって大きなアドバンテージであり、顧客満足度に直接繋がります。OCNモバイルONEは特に回線増強に努め、混み合う昼休み時間帯には、何か特別な手立てをとっているのでは?と推察されます。
夜の時間帯は48.35Mbpsです。
帰宅時間帯にも安定した回線通信環境が提供されていて、快適に使える速度が出ています。
一日を通して、コンスタントに上り下りとも10Mbps以上の速度が出ているので、時間帯に限らず通常のスマホ操作は快適に使う事が出来ると言えます。
比較として、同じdocomo回線を使用するMVNOのデータを見てみましょう。
具体的な名前は伏せますが、知名度のあるメジャーなMVNOです。
大手某MVNOモバイルの時間帯別の平均速度(直近3ヶ月)
時間帯 | Ping | 下り | 上り |
---|---|---|---|
朝 | 53.94ms | 15.5Mbps | 8.18Mbps |
昼 | 72.22ms | 2.21Mbps | 5.3Mbps |
夕方 | 50.45ms | 33.88Mbps | 10.05Mbps |
夜 | 54.81ms | 14.34Mbps | 7.33Mbps |
深夜 | 39.4ms | 26.87Mbps | 8.49Mbps |
出典:みんなのネット回線速度
グラフを見ても明らかな様に、OCNモバイルONEとの差は歴然としています。
お昼休みの時間に多くのユーザーが使用すれば、速度の低下は否めません。
特にMVNOではその傾向が顕著で、このグラフは典型的な例です。
筆者個人的にはOCNモバイルONEが、docomo回線を使用するMVNOの中で最も優れた回線品質であると感じています。個人的な偏見だけではなく、携帯電話のリサーチ会社としては最も権威のあるMM総研の品質調査で、OCNモバイルONEは、2年連続総合一位の評価を獲得しています。
出典:OCNモバイルONE
OCNモバイルONEの回線・通信速度口コミ
OCNモバイルONEを実際に利用しているユーザーの通信速度・品質に関する口コミを見てみましょう。
1GB docomo回線 音声通話SIM
“新APNとなって1年以上が経過しています。速度低下すると予想していましたが、現在も、昼12時台が10Mbps以上の速度が出ています。それ以外も20~30Mbpsが出て、十分満足しています。”
“速度も問題なく使えます。もっともゲームや動画など利用しないので十分なのかもしれませんが。”
“流石につながりやすいし速度も申し分なし。”
“楽天より速度がでます(意外でした)。自宅は地方都市ですが、人口密集地区、午後8時台の計測で楽天16Mbps前後(下り)、OCN21Mbps前後(同)。OPPO a5 2020でDSDVですが、データ回線の切り替え後すぐに電波をつかみLTEでつながります。”
3GB docomo回線 音声通話SIM
“格安SIMなのに昼休みでもサクサク動きます。容量を使い切り、通信制限なるともちろん遅すぎて使用できないレベルです。制限前はドコモと遜色ない、速度が出ています。”
“SOFTBANKの時と比べても変わりはない。場所によっては速いと感じることもある”
契約者が多い、小容量の音声通話付き契約者の直近コメントを抽出しましたが、概ね回線速度・回線品質には満足している方が多い様です。
OCNモバイルONEの速度制限
口コミの中にも出てきましたが、契約している基本通信容量と繰り越しサービス容量を使い切った場合に、OCNモバイルONEでは200kbpsに速度制限が掛かります。
2019年に始まった新プランでは、低速での通信量が契約通信容量の半分を超過した場合(1GB契約なら、0.5GB)さらに通信速度が制限され、200kbps以下になります。
契約容量を超過すると、通信速度は制限されますが、全くスマホが使用出来なくなるわけではありません。
快適に使う事は全てにおいて難しくなりますが、文字のみのメールやLINE・SNSは使う事が出来、IP音声電話の使用も可能です。
OCNはNTTレゾナントが運営する事業
OCNはNTTレゾナントが運営する事業名です。OCNは、日本最大級規模のインターネット接続業者(プロバイダ)としての「OCN光」の方が有名ですよね。
OCN光は、フレッツ光回線を使って運用されている「光コラボレーション」です。インターネット光回線を利用するためには、回線のサービス利用とプロバイダのサービスを組み合わせて利用する事が必要になります。
OCN光を利用するということは、回線をフレッツ光・プロバイダをOCNにするということです。プロバイダは光回線に接続する端末それぞれに、IPアドレス(ネット上の所在を表す様なものです)を発行し割り振る役割をしています。同じフレッツ光という回線を利用しても、プロバイダによって通信速度は差が出ます。
あれ・・この関係性は、携帯電話のMVNOと似ていませんか?
評価の高いOCNモバイルONEと同様に、OCN光も非常に評価の高い回線品質を誇っています。特に2020年から始まった「IPoE(IPv4 over IPv6)接続方式」が寄与しています。
IPoEをごく簡単に説明すると、従来からある遅いIPv4のサイトでも新しい規格IPv6と同様に高速でアクセス出来る技術です。OCN光では別途の申込や設定・追加料金も不要な標準装備になっています。
フレッツ光を回線として利用するプロバイダは多くありますが、やっぱりOCN光をオススメするのは、そんな理由があります。
OCNモバイルONEにOCN光を組み合わせて利用がお得!
携帯も光回線も高品質なOCNにすると、高品質で快適な回線環境だけでは無く、お支払い料金もお得になります。
2021年4月1日に開始されたOCNモバイルONEの新コースでは、音声対応で1GB/月の容量が770円と回線品質とは乖離した激安価格を打ち出していますが、OCN光を組み合わせる事で「OCN光モバイル割」が適用されて更に安い月額550円で利用できることになります。
OCN光とOCNモバイルONEのセット利用に関しては関連記事をぜひ参考にしてくださいね。